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2006年10月 5日 (木)

日本沈没

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本作品の映像レビューに入る前に、まず原作「日本沈没」についてご紹介しておきましょう。これはSF作家である小松左京が1964年(当時33歳)より執筆を開始し、9年がかりで完成させたまさに渾身の超大作です。地震の観測データと伊豆沖海底調査の結果より、日本沈没という大パニックが、近いうちに起こることを予測した物理学者の田所博士と、海底調査で潜水艇の操縦士を行った小野寺を中心に話が進行し、最後は日本沈没の前に、全世界に日本人を移住させるという政府の動きも含め、多くの舞台で様々な人間模様が描き出されています。これだけのパニックをきちんと長編小説にまとめあげた文章力もさることながら、随所に登場する地球物理学理論の詳細な描写(その信憑性はともかくとして)には本当に驚かされます。もしこれをブレーンの存在も無く、小松左京氏がたった一人で書き上げたのだとしたら、恐るべき才能だと思います。
実は私がこの小説をまともに読んだのは、1995年の阪神・淡路大震災の後なのですが、実際の大地震パニックの後、この小説のメッキがはがれるどころか、そのリアリティに改めて驚かされることになりました。

原作のことはこのぐらいにして、次に本題となる映像作品の話をしましょう。
過去に映画で2回、テレビドラマで1回制作されていますが、今回レビューとしてご紹介する作品は、1974年に放送されたテレビドラマ版の日本沈没です。映画は1作目しか見ていませんが、それなりに良く出来ているものの、時間の制約から日本沈没までのストーリーの展開が慌しすぎるなど、少々無理があるような気がします。主役の一人である田所博士については、映画版もテレビドラマ版も小林桂樹が演じているのですが、映画版は時間の関係もあって、博士の人間性が描けておらず、ただの変人科学者のようになっています。テレビドラマ版ではそのあたりが補完され、より感情移入できる作品になっているのは評価すべきところでしょう。ただ、過ぎたるは及ばざるが如しと言いましょうか、テレビドラマ版は逆に長すぎる傾向があり、「このエピソードは別になくてもいいんじゃないか?」と思われるシーンも登場します。特に本作品の場合、最初から「日本が沈没する」という結論が分かっていますので、全26話、22時間弱もあると途中でだれてしまうのは、ある程度やむを得ないところでしょう。まったく原作の存在を知らず、「もしかしたら、画期的な対策が発明されて、日本沈没は免れるかも?」ぐらいの気持ちで見ていて、最後に本当に沈んでしまうところでショックを受けたような人は、中だるみなく楽しめた幸せな人だと思います。ちなみにこのテレビドラマ版の主題歌は五木ひろしが歌っており、やや演歌調ですので、特撮作品の一つとしてこのドラマを見ていた私には、最初ひどく違和感がありました。ところが何話も見ていくうちに、この主題歌が心にしみるようになってきます。基本的に悲しいドラマですから当然かもしれませんね...。

これは連続ドラマですので、いつものようなベストエピソードの紹介はしませんが、やはり随所に登場するパニックシーンの特撮は見どころです。当時の特撮技術で、しかもテレビドラマということを考えればなかなか力の入った映像だと思います。
ちなみに、田所博士と並び主役級となる小野寺ですが、1作目の映画では藤岡弘、テレビドラマでは村野武範が演じています。どちらもいかにも熱血ぶりを発揮しそうなキャラクターです(実際、劇中でもそういうキャラクターになっています)最新の映画では、SMAPの草彅剛という熱血とは縁の無さそうな(イメージだけですが)俳優が演じており、どのようなキャラクターになっているのか、視聴するのが楽しみです。(最初に書きましたが、この最新作だけ未見ですので)
余談ですが、このテレビドラマ版は他にも黒沢年男の若さに驚かされ、由美かおるが今と殆ど変わらないことにも驚かされる(^^;)という別の楽しみ方もあります。

本作品は、映画の1作目とテレビドラマ版は既にDVDリリースが行われています。テレビドラマ版の全話リリースは、最初にLDで行われました。DVDは2001年にすべてリリースされましたが、2006年に映画のリメイク版公開のタイミングに合わせてDVD-BOXとして再発売されています。2001年にバラ売りリリースされたものと比べても格安価格ですのでお勧めです。

○映像ソフト関連リンク
 ・日本沈没 TELEVISION SERIES プレミアム・ハザードDVD-BOX
 ・日本沈没(劇場版DVD)

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